Eeschema Chapter9 JA

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ネットリストの作成

概要

 ネットリストはコンポーネント間の接続を記述したファイルです.ネットリストのファイルには,次のものが含まれます:

  • コンポーネントのリスト.
  • 等電位ネットというコンポーネント間の接続のリスト.

 さまざまなネットリストのフォーマットが存在します.コンポーネントのリストと等電位リストが2つの別々のファイルであることもあります.回路図入力(capture)ソフトウェアの使用においては,このネットリストが基本となります.それはネットリストが次のような他の電子系CADソフトウェアとのリンクとなるからです.:

  • PCBソフトウェア.
  • 回路およびPCBシミュレータ.
  • CPLD (および他のプログラマブルICの)コンパイラ.

 Eeschemaはネットリストのフォーマットを数種サポートしています.

  • PCBNEWフォーマット(プリント配線).
  • ORCAD PCB2フォーマット(プリント配線).
  • CADSTARフォーマット(プリント配線).
  • 様々なシミュレータ用のSpiceフォーマット(Spiceフォーマットは他のシミュレータにも使用される).

ネットリストフォーマット

[[Image:]]ツールを選択し,ネットリスト作成ダイアログボックスを開きます.


[[Image:]] Pcbnewを選択
[[Image:]] Spiceを選択

 それぞれのタブで希望するフォーマットを選択できます.Spiceフォーマットでは,等電位の名称(その方が読みやすい)か,またはネット番号(Spiceの古いバージョンは番号のみ受け付ける)のどちらかでネットリストを生成することが可能です.

 大きなプロジェクトでは,ネットリストの生成に数分かかることがあります.

ネットリストの例

 PSPICEライブラリを使用した回路設計は以下を参照して下さい.

[[Image:]]

 PCBNEWネットリストファイルの例です.

# EESchema Netlist Version 1.0 generee le 21/1/1997-16:51:15
(
(32E35B76 $noname C2 1NF {Lib=C}
(1 0)
(2 VOUT_1)
)
(32CFC454 $noname V2 AC_0.1 {Lib=VSOURCE}
(1 N-000003)
(2 0)
)
(32CFC413 $noname C1 1UF {Lib=C}
(1 INPUT_1)
(2 N-000003)
)
(32CFC337 $noname V1 DC_12V {Lib=VSOURCE}
(1 +12V)
(2 0)
)
(32CFC293 $noname R2 10K {Lib=R}
(1 INPUT_1)
(2 0)
)
(32CFC288 $noname R6 22K {Lib=R}
(1 +12V)
(2 INPUT_1)
)
(32CFC27F $noname R5 22K {Lib=R}
(1 +12V)
(2 N-000008)
)
(32CFC277 $noname R1 10K {Lib=R}
(1 N-000008)
(2 0)
)
(32CFC25A $noname R7 470 {Lib=R}
(1 EMET_1)
(2 0)
)
(32CFC254 $noname R4 1K {Lib=R}
(1 +12V)
(2 VOUT_1)
)
(32CFC24C $noname R3 1K {Lib=R}
(1 +12V)
(2 N-000006)
)
(32CFC230 $noname Q2 Q2N2222 {Lib=NPN}
(1 VOUT_1)
(2 N-000008)
(3 EMET_1)
)
(32CFC227 $noname Q1 Q2N2222 {Lib=NPN}
(1 N-000006)
(2 INPUT_1)
(3 EMET_1)
)
)
# End

 PSPICEフォーマットでは,ネットリストは次のようになります.

* EESchema Netlist Version 1.1 (Spice format) creation date: 18/6/2008-08:38:03
.model Q2N2222 npn (bf=200)
.AC 10 1Meg *1.2
.DC V1 10 12 0.5
R12  /VOUT N-000003 22K
R11  +12V N-000003 100
L1  N-000003 /VOUT 100mH
R10  N-000005 N-000004 220
C3  N-000005 0 10uF
C2  N-000009 0 1nF
R8  N-000004 0 2.2K
Q3  /VOUT N-000009 N-000004 N-000004 Q2N2222
V2  N-000008 0 AC 0.1
C1  /VIN N-000008 1UF
V1  +12V 0 DC 12V
R2  /VIN 0 10K
R6  +12V /VIN 22K
R5  +12V N-000012 22K
R1  N-000012 0 10K
R7  N-000007 0 470
R4  +12V N-000009 1K
R3  +12V N-000010 1K
Q2  N-000009 N-000012 N-000007 N-000007 Q2N2222
Q1  N-000010 /VIN N-000007 N-000007 Q2N2222
.print ac v(vout)
.plot ac v(nodes) (-1,5)
.end

ネットリスト名の注意事項

 ネットリストを使用する多くのソフトウェアツールは,コンポーネント名,ピン名,等電位名(equipotentials)あるいは他の名前に空白(space)の使用を認めません.ラベルあるいはコンポーネントやそのピンの名前と数値欄に空白を使用しないで下さい.

 同様に,英数字以外の特殊文字の使用は問題を生じる可能性があります.この制限はEeschemaとは無関係ですが,ネットリストを使用する他のソフトウェアがネットリスト・フォーマットを解釈できなくなる点に関わることに注意して下さい.

PSPICEネットリスト

 Pspiceシミュレーターの場合,ネットリストの中にコマンド行(.PROBE, .ACなど)をいくつか含める必要があります.

 回路図に含まれる-pspiceまたは-gnucapのキーワードで始まるテキスト行は,ネットリストの先頭に(キーワードがない状態で)挿入されます.

 回路図に含まれる+pspiceまたは+gnucapのキーワードで始まるテキスト行は,ネットリストの先頭に(キーワードがない状態で)挿入されます.

 1行テキストを複数使用する例,複数行テキストを1つ使用する例です.


[[Image:]]


 例えば:次のようなテキストを入力する場合(ラベルを使用しないこと!):

-PSPICE .PROBE

 .PROBEの行はネットリストに挿入されます.

 前述の例ではこの方法でネットリストの先頭に3行,末尾に2行挿入されました.

 複数行テキストを使用している場合,+pspiceまたは+gnucapのキーワードは1度だけ必要です:

+PSPICE .model NPN NPN

.model PNP PNP

.lib C:\Program Files\LTC\LTspiceIV\lib\cmp\standard.bjt

.backanno

 上の場合,4行生成されます:

.model NPN NPN

.model PNP PNP

.lib C:\Program Files\LTC\LTspiceIV\lib\cmp\standard.bjt

.backanno

 また,Pspiceの場合,等電位のGNDは0(ゼロ)という名前にしなければならないことに注意して下さい.

«プラグイン»を使用する他のフォーマット

 他のネットリスト・フォーマットの場合には,ネットリストコンバーターを追加することが可能です.Eeschemaはそれらのコンバーターを自動的に起動します.コンバーターの解説と例は14章にあります.

 コンバーターはテキストファイル(xslフォーマット)ですが,Pythonのような他の言語を使用することが可能です.xslフォーマットを使用する場合,ツール(xsltproc.exeあるいはxsltproc)はEeschemaが生成した中間ファイルと,コンバーターファイルを読み込んで,出力ファイルを生成します.この場合,コンバーターファイル(シートスタイル)は非常に小さく記述が容易です..

ダイアログウィンドウの初期設定

 プラグインの追加タブで,新規ネットリスト・プラグインを追加することが可能です.

[[Image:]]

 PadsPcbプラグインのセットアップウィンドウです

[[Image:]]

 セットアップでは以下が必要です:

  • 表題(例えば:ネットリスト・フォーマットの名前).
  • 起動するプラグイン.

 ネットリスト生成時に以下のことを行います:

  1. Eeschemaは中間ファイル*.tmpを生成します.例えば,test.tmpとします.
  2. Eeschemaはプラグインを実行し,test.tmpを読み込み,test.netを生成します.

コマンドラインフォーマット

xsltproc.exeを.xslファイルの変換ツールとして,ファイルnetlist_form_pads-pcb.xslをコンバーターのシートスタイルとして使用する例です:

f:/kicad/bin/xsltproc.exe -o %O.net f:/kicad/bin/plugins/netlist_form_pads-pcb.xsl %I

各部の意味は次の通りです:


f:/kicad/bin/xsltproc.exe xslファイルを読み込み,変換するツール
-o %O.net 出力ファイル: %Oで出力ファイルを定義.
f:/kicad/bin/plugins/netlist_form_pads-pcb.xsl ファイル名コンバーター(シートスタイル,xslフォーマット).
%I Eeschemaが生成した中間ファイル(*.tmp)で置き換える.

test.schという名前の回路図の場合,実際のコマンドラインは次の通りです:

f:/kicad/bin/xsltproc.exe -o test.net f:/kicad/bin/plugins/netlist_form_pads-pcb.xsl test.tmp.

コンバーターとシートスタイル(プラグイン)

これは非常に単純なソフトウェアです.なぜなら,その目的が入力テキストファイル(中間テキストファイル)を別のテキストファイルに変換するだけだからです.さらに,中間テキストファイルからBOMリストの生成が可能です.

xsltprocを変換ツールとして使用すると,シートスタイルのみが生成されます.

中間ネットリストファイルフォーマット

xslprocについてのさらに多くの説明,中間ファイルフォーマットの記述内容,各コンバーターの場合のシートスタイルの例は14章を参照して下さい.